今回は『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』について解説します。
著者:ピョートル・フェリクス・グジバチさんのプロフィール
ピョートル・フェリクス・グジバチさんは、ポーランド出身の連続起業家・投資家・経営コンサルタント・執筆者であり、雑談やパラダイムシフトなどのテーマで多くの著書や講演を行っています。
グジバチさんは、自分の常識を疑い価値観をアップデートしていくことが、変化に対応するためのカギだと語っています。
そのためには、多様な価値観を持つ人々との対話を通して自分なりの考え方や仮説を精査し、フィードバックをもらうことが必要だと述べています。
本書は、元グーグルの人材開発責任者で経営コンサルタントの、ピョートル・フェリクス・グジバチさんが書いたビジネス書です。
世界の一流は「雑談」で何を話しているのか:要約
テーマは、日本人が苦手とする『雑談』の重要性と効果的な方法についてです。
本書では、日本人の雑談は『とりとめのない会話』であり、本題に入る前の『潤滑油』に過ぎないと指摘しています。
一方、世界の一流ビジネスマンは、雑談を『ダイアログ』として捉え、仕事のパフォーマンスを上げるための武器として活用しています。
ダイアログとは、単なる情報のやりとりではなく、話す側と聞く側がお互いに理解を深めながら行動や意識を変化させるような、創造的なコミュニケーションを目指した会話です。
本書では、雑談を、社内や社外の人間関係の構築に活かし、仕事で成果を出すための考え方や実践法を徹底的に掘り下げています。
本書を読めば、雑談のスキルを向上させるだけでなく、仕事や人間関係で成果を出すことができるでしょう。
キャッチコピーをつけるなら『雑談で成果を出す!』です。
それでは各章を解説します。
第1章:『世界』の雑談と『日本』の雑談
本章では、日本の雑談と世界の雑談の違いと、その理由について説明しています。
日本の雑談には、戦略的な視点が欠けていると指摘しています。
一方、世界の一流の雑談には明確な意図と目的があり、相手に対するリサーチや準備を行っていると述べています。
一流が雑談に求めているのは『リベラルアーツ』であり、教養や知識・思考力や表現力を高めることが重要です。
第2章:強いチームをつくる『社内雑談力』の極意
本章では、社内の雑談が、チームビルディングや組織の成長にどのように貢献するかについて、グーグルの雑談の文化や実践例を参考に説明しています。
社内の雑談が重要な理由は、以下の3つです。
- 社員のモチベーションやエンゲージメントを高める。
- 社員のコミュニケーションやコラボレーションを促進する。
- 社員のクリエイティビティやイノベーションを刺激する。
また、マネージャー(上司)に求められる雑談のポイントは、以下の4つです。
- 部下のパフォーマンスやキャリアのフォローアップに活用する。
- 部下の個性や価値観を理解するために活用する。
- 雑談は部下の信頼や尊敬を得るために活用する。
- 雑談は部下のフィードバックや評価に活用する。
さらに、メンバー(部下)に必要な雑談のポイントは、以下の4つです。
- 上司や同僚との関係性を築くために活用する。
- 自分の能力や貢献をアピールするために活用する。
- 自分の課題や悩みを解決するために活用する。
- 自分のキャリアや将来のビジョンを明確にするために活用する。
第3章:武器としてのビジネスの雑談
本章では、ビジネスの雑談における4つの目的と、その達成方法について説明しています。
ビジネスの雑談には、以下の4つの目的があります。
- 『信頼関係』を築く。
- 『情報』を収集する。
- 『影響力』を発揮する。
- 『成約』に導く。
また、日本のビジネスマンは、相手との上下関係を作ってしまう傾向があると指摘しています。
そこで、ビジネスの相手と対等な関係を作るためのアプローチとして以下の3つのステップを紹介しています。
- ステップ1:相手の『興味』を探る。
- ステップ2:相手の『価値観』を理解する。
- ステップ3:相手の『ニーズ』を引き出す。
さらに、エグゼクティブな雑談でスクリーニングしていることとして以下の4つのポイントを挙げています。
- 相手の『知性』を測る。
- 相手の『教養』を測る。
- 相手の『思考力』を測る。
- 相手の『表現力』を測る。
あとは、教養は時間がかかるが、質問力は短時間で身につくと述べています。
聞きにくいことを質問する時に便利なフレーズとして、3つの例を紹介しているから参考にしてください。
- 例1.『あなたの意見を聞きたいのですが……』
- 例2.『私はこう思っているのですが、どう思われますか?』
- 例3.『私はあまり詳しくないのですが、教えていただけますか?』
第4章:こんな雑談は危ない! 6つのNGポイント。
本章では、雑談で失敗しないための、6つのNGポイントについて説明しています。
雑談のNGポイントは以下の6つです。
- NG1:相手のプライベートに、いきなり踏み込まない。
- NG2:ファクトベース、(事実に基づいた)質問は、意外に危険。
- NG3:ビジネスの場で、政治や宗教に関する話題は避ける。
- NG4:相手の文化や習慣に無知なまま、偏見やステレオタイプを口にしない。
- NG5:自分の話ばかりするのではなく、相手の話にも興味を持つ。
- NG6:相手の話を遮ったり、否定したり、批判したりしない。
これらのNGポイントについて、具体的な例や対策を紹介しています。
雑談の成功のカギは『相手の立場や感情に配慮する』ことです。
世界の一流は「雑談」で何を話しているのか:まとめと感想
- 世界のビジネスマンは雑談をダイアログとして活用し、仕事のパフォーマンスを向上させている。
- 社内雑談はチームビルディングや組織成長に重要。
- ビジネス雑談は対等な関係構築のためのアプローチが重要。
- 雑談での失敗を避けるには、相手の話に興味を持ち、否定や遮断をしないことが重要。
本書は、日本の雑談と世界の雑談の違いを明確にし、雑談をビジネスでの武器としてどう活用するかを具体的に解説しています。
特に、雑談をダイアログとして捉え、相手との理解を深めるコミュニケーション手法と考えるのは非常に啓発的です。
また、社内雑談の重要性やビジネスにおける雑談の目的を学ぶことで、日常の会話がチームビルディングや組織の成長にどのように貢献するかも理解できます。
雑談で失敗しないためのNGポイントも参考になるし、実際のビジネスシーンでの応用が楽しみになるでしょう。
総じて、本書は、単に会話の技術を向上させるだけでなく、相手との信頼関係を築き、より良いコミュニケーションを実現するための指針となります。
雑談を通じて相手の価値観やニーズを理解し、自分の考えや意見を適切に伝えることの重要性がわかるおすすめの一冊となっています。
コミュニケーションの基本は『相手の立場に立って考える』ことです。
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