今回は、テーマ株のなかから円安で恩恵を受ける企業に注目し、おすすめの高配当株を9銘柄ご紹介します。
- なぜに円安メリット銘柄に注目するのか。
- 銘柄の選定基準。
- オススメの円安メリット高配当株9選。
円安メリットの高配当株を買っておけば、円安が進んでも資産が保たれるでしょう。
第1話:なぜ円安メリット銘柄に注目するのか
まず、円安で恩恵を受ける企業とは、主に輸出企業や海外事業の割合が高い企業を指します。
たとえば、1ドル=100円から150円へと対ドルで50円分の円安ドル高が進行した場合、従来1個1ドル(100円)で海外で販売していた同じものが、1ドル(150円)で売れるようになります。
このように、円換算することで、売上高・利益の手取りが増加し、利益水準が上昇するのです。
また、手取りが増加することで、値下げの余地が生まれ、価格競争力の向上も期待できます。
同じ価格で売っても利益が増えるのですね。
それにしても、なぜこんなに円安が進んでいるのでしょうか?
また、今後も円安は進むのでしょうか?
円安が進んでいる主な理由は、日米の経済政策と金利差が挙げられます。
日本銀行は長期にわたる金融緩和策を維持しており、直近でマイナス金利政策を解除したとはいえ、低金利であることに変わりありません。
一方、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ対策として金利を積極的に引き上げています。
この金利差により、投資家が高金利の通貨を求め、円の価値が下がっているのです。
今後の見通しとしては、円安圧力はしばらく続くと予想されています。
アメリカでは高い物価の数字が出たことで、当面は高水準の金利を維持する必要があるとの見方が強まっている一方で、日本はマイナス金利政策の解除後も、金利の引き上げを急がない方針を示しているためです。
日米の金利差が大きいのですね。
日本もインフレが進んでいますし、利上げをした方が良いのではないでしょうか?
残念ながら、日本経済は過去30年間ほとんど成長しておらず、利上げをすれば借金を返せなくなる個人や企業が爆増する可能性が高いため、簡単にはいきません。
また、政府や日銀が為替介入を行う可能性がありますが、焼け石に水です。
直近では4月29日に1ドルが160円をつけたとき、それらしき動きが観測され、一気に5円近く円高に振れましたが、その後またすぐに円安が進みました。
以上の理由から、円安は長期的なトレンドになりそうです。
第2話:銘柄の選定基準
- 輸出企業・海外事業比率が高い。
- 売上・EPSが右肩上がり。
- 利回り3%以上。
- 過去10年間増配傾向。
- 5年チャートで右肩上がり。
抽出方法は、株探の人気テーマから『円安メリット』を参照しました。
結果、2024年5月現在で、円安メリット銘柄は121あり、さらに利回り3%以上に当てはまる銘柄は、33あることがわかりました。
売上やEPS・配当の推移などは『IR BANK』で確認しましょう。
第3話:オススメの円安メリット高配当株9選
とはいえ、忙しい人のために代わりに調べておきましたので、これから紹介するオススメの高配当株を参考にしてください。
ただし、為替相場は多くの要因によって日々変動しており、将来の動向を正確に予測することは非常に難しいです。
投資する際は、慎重に行いましょう。
情報も古くなっている可能性があります。
最終的な確認や売買判断は、ご自身で行ってください。
(3355)クリヤマHD
クリヤマHDは、ゴムや合成樹脂製のホースを中心に、日本・アメリカ・ヨーロッパで事業を展開しています。
また、運動施設や建設用の床材も取り扱っており、子会社を通じて尿素SCR事業も行っています。
海外事業が全体の65%を占めており、北米が事業の54%を占め、そのうち6%が利益に貢献。
北米では、期中に物流倉庫を移転拡張し、機会損失を解消して数量の伸びを実現しました。
欧州・南米は7%を占め、5%が利益に貢献しています。
欧州子会社製の消防用ホースをオセアニア地域で拡販するため、オーストラリアに販売拠点を新設しました。
売上高とEPSは波はあるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは8.20倍と平年より割高となっています。
配当金は1株当たり45円で、利回りは約3.24%です。
配当性向は約23.2%で、増配傾向にあります。
権利確定月は6月と12月です。
(5105)TOYO TIRE
TOYO TIREは、乗用車用タイヤからライトトラック用タイヤ、トラック・バス用タイヤまで、幅広い製品を展開しています。
日本国内では、タイヤ業界で4位の地位を占めています。
海外での売上は78%で、北米市場では大口径SUV用タイヤに強みを持っています。
売上高とEPSは波はあるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは9.90倍と、平年よりやや割高となっています。
配当金は1株当たり105円で、利回りは約3.62%です。
配当性向は約21.3%で、増配傾向にあります。
権利確定月は6月と12月です。
(5108)ブリヂストン
ブリヂストンは、世界的なタイヤメーカーであり、タイヤ業界で世界首位の地位を持っています。米国のファイアストンを買収するなど、世界的な展開を進めています。
タイヤだけでなく、タイヤ管理などのサービス型事業も積極的に展開しています¹。
海外事業が全体の78%を占めており、そのうち、北米が48%、欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカが21%、中国・アジア・大洋州が9%となっています。
新車用タイヤは販売本数が横ばいですが、市販用タイヤは日本や北米で伸びています。
売上高とEPSは波はあるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは13.30倍と、平年より割高となっています。
配当金は1株当たり210円で、利回りは約3.03%です。
配当性向は約48.1%で、増配傾向にあります。
権利確定月は6月と12月です。
(5334)日本特殊陶業
日本特殊陶業は、自動車用プラグや排気系センサーなどの製造で世界一を誇ります。
さらに、電子部品や医療機器、燃料電池なども手がけています。
日本特殊陶業の海外での売り上げの割合は約82%です。
同社は海外に59拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
売上高とEPSは波はあるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは12.10倍と、平年より割高となっています。
配当金は1株当たり166円で、利回りは約3.32%です。
配当性向は約42.9%で、増配傾向にあります。
権利確定月は3月と9月です。
(6301)コマツ
コマツは、建設機械で世界で2位の地位を持つ総合機械メーカーです。
建設機械・車両の海外売上比率は約88%です。
事業別の売上高構成は、日本・北米・欧州で50%、アジア・中南米・オセアニア・中国などで50%と、世界中で85の生産拠点を持ち、全世界でバランスよくビジネスを展開しています。
主力の建設機械・車両は北米で好調であり、鉱山機械向けの部品とサービス収入も拡大しています。
中南米やインドネシアなどで鉱山機械の需要が高水準です。
売上高とEPSは波はあるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは12.70倍と、平年より割安となっています。
配当金は1株当たり167円で、利回りは約3.60%です。
配当性向は約40.1%で、増配傾向にあります。
権利確定月は3月と9月です。
(6432)竹内製作所
竹内製作所は、長野県埴科郡坂城町に本社を置く建設機械メーカーで、ミニショベル・油圧ショベル・クローラーローダー・クローラーキャリアなどの製品を開発・製造・販売しています。
建設機械が主要な事業であり、海外での事業比率は99%と世界的な存在となっています。
特にクローラーローダーは世界初の開発を行い、ヨーロッパと北米で高いシェアを占めています。
売上高とEPSは右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは10.20倍と、平年より割安となっています。
配当金は1株当たり200円で、利回りは約3.40%です。
配当性向は約28.8%で、14年連続増配を続けています。
権利確定月は2月と8月です。
(7267)本田技研工業
本田技研工業は、自動車および二輪車の製造・販売を行う日本の大手自動車メーカーです。
世界で4輪車の販売台数で7位に位置しており、北米が収益源となっています。
また、2輪車の販売はアジア市場で好調であり、世界首位を維持しています。
海外事業が全体の87%を占めており、そのうち、北米が41%、欧州が3%、アジアが36%となっています。
売上高とEPSは波があるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは9.00倍と、平年並みとなっています。
配当金は1株当たり58円で、利回りは約3.24%です。
配当性向は約31.2%で、増配傾向にあります。
権利確定月は3月と9月です。
(7272)ヤマハ発動機
ヤマハ発動機は、2輪車の分野で世界大手の地位を築いています。
マリン事業も主要な収益源となり、船外機やボートエンジンなどを提供しています。
産業ロボット分野も強化しており、自動化や効率化のためのロボットソリューションを提供しています。
海外での事業展開に積極的であり、海外売上の割合は94%です。
売上高とEPSは波があるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは8.10倍と、平年並みとなっています。
配当金は1株当たり50円で、利回りは約3.46%です。
配当性向は約29.5%で、増配傾向にあります。
権利確定月は6月と12月です。
(8053)住友商事
住友商事は、住友系の総合商社であり、幅広い事業分野で活動しています。
油井管などの鋼管事業が強力であり、ケーブルテレビなどのメディア事業も展開しています。
資源部門では非鉄金属が主要な柱となっています。
売上のうち、海外での割合は65.1%です。
25年3月期には北米鋼管の回復、自動車販売、航空機リースなどが着実に進展しています。
ポートフォリオの最適化を進めており、台湾企業に米国のジェネリック製薬の持分を売却したり、英国の水道事業を売却して資産の入れ替えを行っています。
売上高とEPSは波があるものの右肩上がり。
株価チャートは右肩上がりとなっています。
PERは10.10倍と平年より割高となっています。
配当金は1株当たり125円で、利回りは約3.03%です。
配当性向は約25.4%で、増配傾向にあります。
権利確定月は3月と9月です。
円安メリット高配当株9選:まとめ
各おすすめ銘柄の利回りを列挙します。
証券コード | 銘柄名 | 配当利回り |
3355 | クリヤマHD | 3.24% |
5105 | TOYO TIRE | 3.62% |
5108 | ブリヂストン | 3.03% |
5334 | 日本特殊陶業 | 3.32% |
6301 | コマツ | 3.60% |
6432 | 竹内製作所 | 3.40% |
7267 | 本田技研工業 | 3.24% |
7272 | ヤマハ発動機 | 3.47% |
8053 | 住友商事 | 3.03% |
以上が、円安で恩恵を受ける高配当銘柄になります。
過去に『インド関連の高配当株』も紹介しており、これらも円安で恩恵を受ける企業ですので、合わせて参考にしてください。
本記事の内容は、youtubeでも視聴することができます。
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