今回は『新NISAはこの9本から選びなさい』について解説します。
著者の中野晴啓さんは、長期投資のプロで、セゾン投信の創業者でもあります。
著者:中野晴啓さんのプロフィール
明治大学商学部を卒業後、クレディセゾンに入社し、資金運用業務に従事・海外資産運用コンサルティングなどを行いました。
2006年にセゾン投信を設立し、2007年に社長に就任しました。
現在は、なかのアセットマネジメントの代表取締役社長を務めています。
投資に関する多くの本やセミナーを通して、長期・分散・積立投資の普及に努めており、特に、新NISAやiDeCoなどの制度を利用した資産形成の方法や、投資信託の選び方や組み合わせ方などについて、わかりやすく解説しています。
「積立王子」という愛称で親しまれており、草食投資隊というユニットも組んでいます。
新NISAはこの9本から選びなさい:要約
本書は2024年から始まった新しいNISA制度を利用して、投資信託を選ぶ方法を紹介した入門書です。
投資初心者や新NISAに興味がある人に向けて、投資の必要性から始まり、新NISAの仕組みやメリット・投資信託の基本や選び方などをわかりやすく解説しています。
本書を読めば、自分に合った長期・分散・積立投資を始めて、一生お金に困らない資産形成ができるでしょう。
キャッチコピーをつけるなら『新NISAで買いたい投資信託9選!』です。
著者がおすすめする投資信託も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
第1章:どうしたら「お金に困らない人生」を手に入れられるのか。
本章では、お金に困らない人生を手に入れるために、なぜ投資が必要なのか、どんなメリットがあるのかを説明しています。
まず、現状の日本で老後を迎えると、年金だけではお金が足りません。
しかし多くの人は、じゅうぶんな貯金ができていないのが現実です。
かんたんには貯められないからこそ、資産形成が必要になるのです。
資産形成の方法は、貯金や不動産、株式や投資信託などがあります。
- 貯金:安全ですが、利息が低くてインフレに負けます。
- 不動産:価値や家賃が上がるかもしれないけど、購入や管理に大きな費用がかかります。
- 株式や投資信託:利回りが高いですが、価値が下がったり、手数料がかかったりします。
中野さんは、このなかで『投資信託が最も手軽で効率的な資産形成の方法』だと主張しています。
投資信託のメリットはこのとおりです。
- プロが運用
市場の状況や資産の特徴を分析して、最適な投資判断を行ってくれます。
自分で資産を選んだり、売買したりする手間が省けます。 - 分散投資
株式や債券などの複数の資産を組み合わせて、リスクを分散できます。
一部の資産が下がっても、他の資産が上がることで、損失を抑えられます。 - 積立投資
毎月一定額を自動的に購入し、コツコツと資産を増やすことができます。
価格が高いときには少なく、価格が低いときには多く購入することで、平均的な価格で購入できます。 - 長期投資
市場の状況が長期的には上向く傾向にあるから、利回りが高くなる可能性があります。
新NISAを利用すれば、税金もかからなくなります。
第2章:おトクな制度の中で新NISAが最強の理由。
本章では、新NISAとはどんな制度なのか、どうやって利用するのか、どんな特典があるのかを解説しています。
まず、新NISAの制度ですが、これには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類の投資枠があります。
- つみたて投資枠
毎月一定額を積み立てる投資信託に限られる。
利用できる枠は年間120万円。
非課税保有限度額は最大600万円まで。 - 成長投資枠
株式や投資信託などの幅広い商品に投資できる。
利用できる枠は年間240万円。
非課税保有限度額は最大1,200万円まで。
どちらの枠も、非課税保有期間や口座開設期間は無期限です。
いつでも始められて、いつまでも続けられ、両方利用すれば最大1,800万円まで非課税の恩恵が受けられます。
新NISAの最大のメリットは、投資した商品の配当や売却益が非課税になる点です。
税金の負担を減らし、複利効果を最大限に活用できます。
複利効果とは、利益が利益を生むことです。
例えば、100万円を年10%の利回りで投資したとしましょう。
それは1年後には110万円になります。この110万円をそのまま投資すれば、2年後には121万円になります。さらに3年後には133万円、10年後には259万円、20年後には672万円、30年後には1744万円にもなります。
このように、利益を再投資することで複利の効果が得られ、資産がどんどん増えるのです。
第3章:新NISAを始める前に知っておきたい「投資信託」の「裏知識」。
本章では、新NISAを始める前に知っておきたい「投資信託」の「裏知識」を解説しています。
投資信託の種類
投資信託には、インデックス・アクティブ・バランス・マネーマーケットなど、さまざまな種類があります。
運用方針 | 投資対象 | 特徴 | メリット |
---|---|---|---|
アクティブ | 日本株式 | 高成長・高配当の優良企業に投資。 | 高いリターンと安定した収入を期待できる。 |
パッシブ | 全世界株式 | MSCIワールドインデックスに連動する。 | 世界の株式市場の動向に沿って資産を増やせる。 |
アクティブ | アジア株式 | アジアの成長市場に投資する。 | アジアの経済発展による高いリターンを期待できる。 |
パッシブ | 全世界債券 | ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・アグリゲート・インデックスに連動する。 | 世界の債券市場の動向に沿って安定した収入を得られる。 |
アクティブ | 新興国債券 | 新興国の高利回り債券に投資する。 | 新興国の金利水準による高い収入と為替変動によるリターンを期待できる。 |
パッシブ | REIT | 東証REIT指数に連動する。 | 不動産投資信託の動向に沿って安定した収入と資産価値の上昇を期待できる。 |
アクティブ | インフラ | インフラ関連の株式や債券に投資する。 | インフラ需要の増加による安定した収入と成長性を期待できる。 |
パッシブ | ESG | ESG要因を考慮した株式に投資する。 | 環境・社会・ガバナンスに配慮した企業のパフォーマンスに沿って資産を増やせる。 |
アクティブ | バランス | 株式と債券のバランスを調整しながら投資する。 | マーケットの変動に応じて最適な資産配分を実現できる。 |
これらは、投資対象や運用方針によって分けられます。
それぞれの種類ごとに特徴やリスクがあるので、自分の目的やリスク許容度に合わせて、投資信託の種類を選びましょう。
- 安定的な収入を求めるなら債券やマネーマーケット。
- 成長性を求めるなら株式やアクティブ。
- バランスを求めるならバランス。
投資信託の運用実績や評価
投資信託の運用実績や評価は、インターネットなどで調べることができます。
- 運用実績:投資信託が過去にどのくらいの利回りを出してきたか。
- 利回り:お金が増える割合。
- 評価は:投資信託がどのくらかいの品質や信頼性を持っている。
これらは、投資信託の性能や将来性を判断するのに役立ちます。
同じ種類の投資信託を比較して、長期的に安定した成績を上げている商品を選ぶと良いでしょう。
ただし、過去の運用実績や評価は、将来の成果を保証するものではありません。市場の状況や投資信託の運用方針によって、変わる可能性があります。運用実績や評価は、参考程度にしましょう。
投資信託の費用
投資信託には、購入時にかかる販売手数料や、年間にかかる信託報酬などの費用があります。
これらの費用は、投資信託の利回りに影響します。
費用が高いと、利回りが低くなり、費用が低いと、利回りが高くなります。
したがって、できるだけ低い費用の投資信託を選んだほうが良いということになります。
費用は、投資信託のパンフレットや金融機関のウェブサイトなどで確認できます。
投資信託のリスク
投資信託には、価格変動リスクや、為替リスクなどがあります。
これらのリスクは、投資信託の価格が下落する原因となります。
リスクが高いと、価格が大きく変動し、リスクが低いと、価格が安定します。
長く投資を続けるために、自分が許容できる範囲内で、リスクの高低を選びましょう。
第4章:誰も教えてくれなかった!本当にいい投資信託を選ぶ時に大事なこと。
本章では、新NISAで投資信託を選ぶコツを解説しています。
コツ①
自分の目的や期間、リスク許容度に合わせて、投資信託の種類や商品を選びましょう。
- 長期的に資産を増やしたい人:成長性の高い株式や外国株式に投資する投資信託。
- 安定的な収入を得たい人:配当や利息が高い国内債券や外国債券に投資する投資信託。
コツ②
投資信託の運用方針や投資対象、運用実績や評価、費用やリスクなどを比較して、最適な商品を探しましょう。
投資信託には、数千種類もの商品があるけど、すべての商品が自分に合っているわけではありません。
- 国際分散投資
- 国内(日本)資産の比率は3分の1以下
- 日本株が入っているもの
- 為替ヘッジなしのもの
- 純資産残高が50億円以上のもの
- 「ターゲットイヤーファンド」は外す
これらの情報は、インターネットなどで調べることができます。
自分で調べるのは大変で、選ぶところからプロに任せたいと思う人もいるでしょう。
しかし、金融機関の窓口やコールセンターに相談することもできますが、最終的には自分で判断することが大切です。
特に銀行の窓口には絶対に近づかないでください!
信託報酬の高い、銀行だけが儲かる商品をすすめられます‼
とはいえ、何千種類もある投資信託のなかから最適な商品を選ぶのは困難です。
コツ③
中野さんが厳選した9本の投資信託を参考にしてください。
新NISAの「つみたて投資枠」で利用できるもので、長期的に安定した成績を上げているものばかりです。
それぞれに特徴やメリットがあるので、自分の目的や期間、リスク許容度に合わせて、1本選んで積立投資を始めてみましょう。
以下、中野さんが厳選した投資信託です。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- 世界経済インデックスファンド
残りは本書にてご確認ください。
ぶっちゃけ確認するまでもなく、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を選べば間違いありませんが……。
新NISAはこの9本から選びなさい:まとめ
- 投資信託が最も手軽で効率的な資産形成の方法。
- 新NISAで投資信託を積み立て、最大限の複利効果を狙う。
- 投資信託は、運用実績や自分のリスク許容度などを加味して選ぶ。
- 厳選した投資信託だけを買い、積み立て続ける。
以上、愚直に積み立て続ければ、一生お金に困らない資産が形成できるでしょう。
本記事の内容は、youtubeでも視聴することができます。
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