今回は、清原達郎さんの『わが投資術 市場は誰に微笑むか』について解説します。
著者:清原達郎さんのプロフィール
清原達郎さんは、日本の著名な投資家であり、多くの成功を収めたファンドマネージャーです。
東京大学を卒業後、野村證券に入社し、海外投資顧問室でキャリアをスタートさせています。
1998年にタワー投資顧問に運用部長として入社し、日本株ロング・ショート・ファンドの運用を開始。
2005年には個人資産が800億円を超え、長者番付で第1位になっています。
しかし、2017年には喉頭がんの手術を経て声帯を切除し、2023年には自らのファンドを解散してヘッジファンド業務から引退しました。
本書は、清原さんの引退を記念し、その豊富な経験と知識が語られています。
新NISAにも完全対応しており、すべての投資家にとってのバイブルとなるでしょう。
清原さんには後継者がいないから、こうやってすべての情報を晒してくれたのですね。
- 清原達郎さんの投資手法。
- 割安小型成長株の見分け方と選定基準。
- オススメの割安小型成長株1選。
この記事を読めば、清原さんの投資手法がわかり、割安な小型成長株を見つけることができるでしょう。
キャッチコピーをつけるなら『割安小型成長株で億り人!』です。
第1話:清原達郎さんの投資手法
まず、本書で清原さんは、投資市場の本質と投資家の心構えについて語っています。
まず押さえておきたいポイントは、清原さんが逆張り投資家であることです。
少数意見であればあるほど、アイデアは株価に織り込まれていません。
そして、小型株であれば、アナリストのアイデアが株価に織り込まれていないため、投資のチャンスが多いのです。
プロの投資家よりも先行して投資できる可能性が高いわけですね。
次に、清原さんの投資手法は「ロングショート運用」と呼ばれています。
ロングショート運用は、投資対象の証券の価格が将来上昇すると予想され、割安な場合はその証券を買い(ロング)し、逆に価格が将来下落すると予想され、割高な場合はその証券を売り(ショート)することで、どんな局面でも利益を狙える投資戦略です。
この戦略は、ヘッジファンドの中でも最も代表的な戦略の一つであり、適切な分析と判断が求められます。
さらに清原さんは、ロングで株価が何倍にもなり、割安でなくなるまで何年も保有し続け、儲けを最大化しています。
個人投資家は、この手法をマネすれば良いのですか?
ショートに関しては、個人投資家には勧めていません。
ロングの最大のリスクは倒産であり、最大でも投資金額分の損で済みますが、ショートのリスクは無限大だからです。
また、割安小型成長株に投資していれば、ヘッジする必要はなく、株価が下がれば買い増せば良いだけです。
また、ロングであったとしても、ESG投資や未公開株投資は、決して買ってはいけません。
テーマ株は流行り廃りが速いから長期投資には向かないのです。
未公開株の案件はほぼ100%詐欺で、しかも立件は非常に困難を極めます。
本物の未公開株投資は、個人投資家に話が来ることなどありません。
おいしい話に騙されないようにしましょう。
第2話:割安小型成長株の見分け方と選定基準
ここでは割安小型成長株の見分け方を解説し、それに基づいた選定基準を定めます。
まず、割安小型成長株の、会社の価値をどう計算し、どう決めるのかをはっきりさせておきましょう。
割安かどうかは、PERを用いて判断します。
PERは、株価収益率のことで、企業の株価が1株あたりの純利益(EPS)の何倍で取引されているかを示す金融指標です。
たとえば、株価が1000円でEPSが100円の企業は、PERが10倍となります。
PERは、株価が割安か割高かを判断する際に用いられ、一般的にはPERが低ければ割安、高ければ割高と見なされます。
ただし、PERが低くても将来性の無い会社は割安とは言えませんし、逆にPERが高く手も成長性が高ければ割安かもしれません。
会社の未来を考慮する必要があるのですね。
それだけで割安かどうか正しく判断することはできません。
企業は、借金を増やして自己資本比率を少なくすることで、一株当たり利益を押し上げることができるからです。
正しく企業価値を査定するには、財務構造まで確認する必要があるのです。
PBRはどうでしょうか?
PBRは、株価純資産倍率とも呼ばれ、企業の株価が1株当たりの純資産(BPS)に対して何倍で取引されているかを示す指標です。
PBRは、株価が割安か割高かを判断するために用いられ、一般的にPBRが1倍未満であれば株価は割安と考えられ、1倍以上であれば割高と考えられます。
たとえば、株価が1000円でBPSが800円の企業は、PBRが1.25倍となります。
これは、その企業の株価が純資産に対して25%割高で取引されていることを意味します。
このPBR、清原さんは投資判断に役に立たないと指摘しています。
PBRが1倍を割れていると、会社が解散したときに、株価よりも資産が大きいため、解散してくれた方がお得です。
ですが、そもそも上場会社で解散する会社などほとんどありません。
また、現実的に解散しようとすると、それに伴う膨大な費用もかかります。
したがって、会社が解散したらという仮定を論じること自体に意味がないのです。
清原さんはPBRよりも、ネットキャッシュ比率を重視するべきだと論じています。
ネットキャッシュは、企業が所有している現金・預金や1年以内に現金化できる有価証券など流動性の高い資産から有利子負債を差し引いたものを指します。
これは実質的な手元資金を示す指標であり、通常、潤沢な企業は財務の安全性が高く、不況時の抵抗力が強いと言えます。
要するに、不動産のようにすぐに現金化できない固定資産よりも、現預金のようにすぐに使える流動資産の割合が多い方が良いということですね。
- PERが低いまま放置されている。
- EPSは伸び続けている。
- キャッシュ比率が高い。
企業として成長しているけれど、割安で放置されているかどうかが判断の基準になりますね。
会社の成長性は、たんにEPSで判断すれば良いですか?
- 経営者が企業を成長させる強い意志を持っているか。
- 社長と目標を共有する優秀な部下がいるか。
- 同じ業界内の競合に負けないか。
- 会社の強みが会社の成長とともに強化されているか。
- 成長によって将来のマーケットを先食いしていないか。
- 経営者の言動が一致しているか。
なかでも最も重要なのが、経営者の意志です。
会社のホームページなどから、ぜひ社長の発言を確認しましょう。
以上を参考に、割安小型成長株の選定基準をこのように定めました。
- 時価総額が500億円以下。
- スタンダード市場に上場している。
- PERが10倍以下。
- PERの変化率がマイナス。
- EPSが右肩上がり。
- 予想ブローカー数が1人以下。
銘柄選定は、SBI証券のスクリーニング機能を用いて絞り込みました。
小型かどうかは、本書に倣い、時価総額が500億円以下としました。
小型株であればマザーズ市場から選ばないのですか?
スタンダード市場に絞っているのも、本書に倣っています。
清原さんは、マザーズ市場は、設立以来一度も割安になったことが無いと述べています。
中身がさえない割には高PER銘柄が多い、最悪の市場だそうです。
さらに、PERが10倍以下で、かつ変化率マイナスということは、元々が割安なうえに、さらに過去平均よりも割安になっているといえます。
EPSが右肩上がりなのに、PERが下がっているということは、相当割安で放置されていることになります。
最後に、予想ブローカーは、少ないほど注目されていない銘柄といえるでしょう。
そして、絞り込んだ結果、該当する銘柄は、38銘柄ありました。
業績や分配金の推移などは『IR BANK』が見やすいですよ。
第3話:オススメの割安小型成長株1選
とはいえ、忙しい人のために代わりに調べておきました。
38銘柄のなかからさらに、業績の伸びや財務がキャッシュリッチかや、さらに配当利回りなどを考慮し、1銘柄を選びましたので参考にしてください。
ただし、紹介する銘柄は、清原さんがオススメしているわけではなく、本書の情報を元に、UP主がAIを使って調べた結果であることを、予めご承知おきください。
また、情報が古くなっている可能性もあります。
最終的な確認や売買判断は、ご自身で行ってください。
(3981)ビーグリー
ビーグリーは、電子コミック配信サービス『まんが王国』を運営しており、女性向けの電子コミックを含む出版事業も展開しています。
このサービスは、デジタルコンテンツの提供を通じて、幅広いユーザーにアクセスしています。
配信サービスは、販促施策が成功し、ユーザー数と課金額が着実に増加しています。
出版部門では、電子コミックの需要が増加しており、一部雑誌の休刊や隔月化による原価抑制と返品率の改善により、採算性が向上しています。
ビーグリーの子会社であるぶんか社が出版する漫画が、大株主である日本テレビによってテレビドラマ化されました。
これは、新刊や既刊作品のIP(知的財産)展開を推進する一環として行われており、海外向けの配信サービスについても、下期に広告開始が予定されています。
日本のデジタルコンテンツ市場は、モバイルデバイスの普及により成長しており、2021年には約9兆7,611億円の市場規模を達成しています。
引用元:財務省『日本のデジタルコンテンツ産業の展望』
強力なIPを持つ日本のコンテンツ産業は、IPを活用したメディアミックス展開で成功を収めており、ビーグリーも市場の拡大が期待できるでしょう。
業績面では、売上とEPSは右肩上がり。
PERは7.43倍と、平年より割安となっています。
EPSが伸びているにも関わらず、株価は底値圏にあり、正当に評価されていないことがわかりますね。
過去平均PERが13.76倍なので、現在のEPS153.42円から適正価格を算出すると約2,111円になります。
時価総額は約71.9億円。
財務は自己資本比率が37.8%と低めですが、余剰資金は着実に積み上がっており、有利子負債は減らしています。
今後、内部留保のキャッシュが、増配や自社株買いなどの株主還元に向かえば、株価の上昇も期待できそうです。
配当金は1株当たり17円で、利回りは約1.51%です。
配当性向は約13.1%で、4年連続増配を続けています。
配当性向が低いので増配の余地は高そうですね。
わが投資術:まとめ
- 割安小型成長株は、プロよりも先行して投資できる。
- 割安小型成長株をロングで買い、長期保有する。
- PERが低く、EPSが伸びていて、財務が健全な銘柄を買う。
- スタンダード市場に上場の時価総額500億円以下の銘柄を買う。
- UP主のオススメ割安小型成長株は、(3981)ビーグリー。
以上、小型株にはリスクもありますが、その分大きなリターンも期待できるでしょう。
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著者の投資手法を身につければ、800億円とまではいかなくても、億り人にはなれるかもしれませんよ。
本記事の内容は、youtubeでも視聴することができます。
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