今回は、桶井 道(おけいどん)さんの『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください!』について解説します。
新NISAに変わったけど、何がどう変わったのかわからない。
そもそもNISAの始め方がわからずに、投資できていない方はいませんか?
本書では、漫画や図解を用い、投資初心者の方に向けて、ニーサの基礎知識や具体的な投資先を教えています。
著者:おけいどんさんのプロフィール
著者のおけいどんさんは、投資家・物書きとして活動しており、47歳で資産1億円とともに約25年間勤務した会社を退職し、FIREしています。
NISAって結局どうすればいいのか教えてください!:要約
本書を読めば、この4つがわかります。
- 新NISAの基礎知識。
- つみたて投資枠でインデックス投資する方法。
- 成長投資枠でじぶん年金を作る方法。
- 新NISAの出口戦略。
キャッチコピーをつけるなら『漫画でわかる!新NISAでじぶん年金!』です。
第1章:NISAの基礎知識と口座の作り方
本章ではNISAの基礎知識と口座の作り方について解説します。
まず、そもそもNISAとは何ですか?
NISAとは、少額投資非課税制度の略称で、個人が一定の金額までの投資を非課税で行える制度です。
株式や投資信託などの金融商品に投資すると、通常は売却益や配当金などの利益に税金がかかりますが、NISA口座を使うと、その税金が免除されます。
2024年からは、新NISAとして制度が大幅に拡充され、非課税期間や非課税枠が増えたり、投資対象商品が増えました。
新NISAはどこがよりお得になったのですか?
- 非課税期間が無期限になった。
これまでのNISAでは、5年または20年が非課税期間でしたが、新NISAでは無期限になりました。
これにより、いつ売却しても非課税で済みます。 - 非課税保有限度額が1,800万円になった。
これまでのNISAでは、600万円または800万円が非課税保有限度額でしたが、新NISAでは1,800万円になりました。
これにより、多くの資産を非課税で保有できるようになりました。 - つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになった。
これまでのNISAでは、つみたてNISAと一般NISAのどちらかを選択する必要がありましたが、新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を使えます。
つみたて投資枠は、積立で定期的に投資を行う方式で、年間投資枠は120万円です。
成長投資枠は、一括または積立で投資を行う方式で、年間投資枠は240万円です。
これにより、自分の投資スタイルや目的に合わせて、柔軟に運用できるようになりました。 - 年間投資枠が最大360万円になった。
これまでのNISAでは、年間投資枠は40万円または120万円でしたが、新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて最大360万円まで投資できます。
これにより、より積極的に投資できるようになりました。
新NISAの懸念点も解説します。
- 損失が出た際に他の口座と損益通算ができない。
NISA口座で損失が出た場合、その損失を他の課税口座で得た利益と相殺することができません。
つまり、損失を税金の控除に活用できないのです。 - 投資対象の選定が甘くなるかも。
NISA口座では、非課税で投資できるというメリットに目がくらみ、自分のリスク許容度や投資目的に合わない商品を選んでしまう可能性があります。
また、非課税期間が無期限になったことで、運用状況のモニタリングや見直しを怠ってしまう可能性もあります。 - 短期的な目線で運用してしまうかも。
NISA口座では、売却した翌年以降に非課税枠が再利用できるというメリットがありますが、これが逆に短期的な売買を誘発する可能性があります。
短期的な売買は、手数料やスプレッドなどのコストがかかり、長期的なリターンを減らす要因になります。
良い面と悪い面、両方理解したら、NISA口座を作りましょう。
NISA口座を作るには、次の手順を踏んでください。
手順1.NISAを取り扱っている金融機関を選ぶ。
NISAを取り扱っている金融機関は、銀行や証券会社など多数ありますが、それぞれ取り扱う金融商品や提供するサービスに違いがあります。
自分の投資スタイルやニーズに合った金融機関を選びましょう。
金融機関の比較サイトなどを参考にすると良いでしょう。
おすすめはネット証券です。
手数料が安くて、サービスが充実していて、取り扱い商品も豊富です。
また、自宅や外出先からでも簡単に投資できるし、ポイント還元やキャッシュバックなどの特典もあります。
特におすすめなのはSBI証券、楽天証券、マネックス証券です。
SBI証券は、手数料が最安値で、投資信託の品揃えが最大級です。
楽天証券は、手数料が安くて、楽天ポイントが貯まるのが魅力です。
マネックス証券は、手数料が安くて、投資情報や教育コンテンツが充実しています。
国内株式・投資信託・米国株式については、3社とも売買手数料無料です。
手順2.NISA口座の開設申し込みをする。
金融機関の窓口やインターネットなどで、NISA口座の開設申し込みをします。
必要な書類は、本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)とマイナンバー確認書類(通知カードや個人番号カードなど)です。
また、金融機関によっては、口座開設に先立って一般の証券口座や銀行口座の開設が必要な場合もあります。
手順3.金融機関・税務署の審査を受ける。
NISA口座の開設申し込みをした後、金融機関と税務署の審査を受けます。
金融機関の審査では、投資経験やリスク許容度などを確認されます。
税務署の審査では、NISA口座を1人1口座に限定するため、他の金融機関でNISA口座を開設していないかどうかを確認されます。
手順4.口座開設通知を受け取る。
金融機関・税務署の審査に合格したら、口座開設通知を受け取ります。
通知は、郵送やメールなどで送られます。
通知を受け取ったら、ニーサ口座の開設が完了したことになります。
手順5.NISA口座に資金を入金する。
NISA口座の開設が完了したら、次に資金を入金します。
資金の入金方法は、金融機関によって異なりますが、一般的には、銀行振込やATMなどで行えます。
資金を入金したら、NISA口座に残高が表示されます。
手順6.NISA口座で投資を始める。
NISA口座に資金が入金されたら、いよいよ投資を始めましょう。
NISA口座で投資できる金融商品は、株式や投資信託・ETFなど多岐にわたります。
自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、適切な商品を選びましょう。
商品の選択や購入は、金融機関のウェブサイトやアプリなどで行えます。
購入した商品は、NISA口座の保有商品として表示されます。
第2章:つみたて投資枠でインデックス投資する。
本章では、「つみたて投資枠」の活用方法について解説します。
まず、つみたて投資枠で投資できるのは、この3つの基準を満たした投資信託だけです。
- 長期の積立・分散投資に適した商品である。
- 信託報酬が年率1.5%以下である。
- 分配金再投資型である。
これらの基準を満たす投資信託は、金融庁が公表する「つみたてNISA対象商品リスト」に掲載されており、このリストに掲載されていない投資信託は、つみたて投資枠で購入することはできません。
購入できる投資信託の中からどれを選べばいいですか?
インデックス型かつ分配金再投資型を選びましょう。
つみたて投資枠で投資する投資信託は、インデックス型かつ分配金再投資型である必要があります。
インデックス型とは、市場全体の動きに連動するように運用される投資信託のことです。
分配金再投資型とは、投資信託が分配する利益を現金で受け取るのではなく、同じ投資信託に再投資することで、複利効果を得られる投資信託のことです。
特におすすめなのは、米国か全世界の株式に投資するインデックス型の投資信託です。
- 米国や全世界の株式市場は、日本よりも成長性や安定性が高い。
- 信託報酬が低く、運用コストを抑えられる。
- 市場全体の動きに連動するため、個別の銘柄選択やタイミングを気にする必要がない。
米国か全世界の株式に投資するインデックス型の投資信託は、多くの証券会社やネットバンクで取り扱われています。
さらに具体的には、このような商品があります。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- SBI・全米株式インデックス・ファンド
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド
買う投資信託を決めたら、それをどのように買えばいいですか?
自動積み立てで「ドルコスト平均法」を実践しましょう。
つみたて投資枠で投資する投資信託は、自動積み立てで購入することができます。
自動積み立てとは、設定した金額と日付に応じて、自動的に投資信託を購入する仕組みのことです。
定期的に同じ金額で投資することで、「ドルコスト平均法」という投資手法を実践できます。
ドルコスト平均法とは、市場の価格が上下するときに、平均購入単価を下げることができる手法のことです。
自動積み立てを設定すれば、忘れずに投資できるし、感情に左右されずに投資できます。
いくらずつ、何銘柄に積み立てればいいですか?
個人の目標やリスク許容度によって異なりますが、一般的な目安としては、このようなポイントがあります。
- 金額は、自分の収入や支出に応じて、無理のない範囲で決める。
- 銘柄は、米国か全世界の株式に投資するインデックス型の投資信託を1~2本選ぶ。
- 銘柄の組み合わせは、米国株式と全世界株式の比率を5:5や6:4などにする。
第3章:成長投資枠でじぶん年金をつくる。
本章では『成長投資枠』を使って「じぶん年金」をつくる方法を解説します。
じぶん年金をつくるには、高配当株・増配株を買う必要があります。
まず、高配当株とは、配当利回りが高い株式のことです。
配当利回りとは、配当金の額を株価で割ったもので、株主に還元される利益の割合を表します。
高配当株に投資するメリットは、安定的な収入を得られることや、株価下落時のリスクを緩和できることです。
一般に成熟した業界や安定した業績を持つ企業が多く、景気の変動に強いです。
高配当株に投資する際は、配当利回りだけでなく、配当の持続性や成長性も確認しましょう。
配当利回りが高すぎる場合は、配当の支払い能力が低下している可能性があります。
また、配当の増減や停止の履歴もチェックしましょう。
次に、増配株とは、配当金の額を毎年増やしている株式のことです。
増配株に投資するメリットは、配当金の増加による収入の向上や、株価の上昇期待が高まることです。
一般に成長性の高い業界や業績の好調な企業が多く、将来性に富んでいます。
増配株に投資する際の注意点は、配当の増加率だけでなく、配当性向や利益率も考慮しましょう。
配当性向とは、配当金の額を純利益で割ったもので、利益のうちどれだけを株主に還元しているかを表します。
配当性向が高すぎる場合は、再投資や成長の余地が少ない可能性があります。
利益率とは、純利益を売上高で割ったもので、売上高に対する利益の割合を表します。
利益率が低すぎる場合は、配当の維持や増加が困難になる可能性があります。
高配当株と増配株は、それぞれ異なる特徴を持っていますが、共通して「じぶん年金」をつくるための有力な投資対象です。
高配当株と増配株を組み合わせることで、安定性と成長性のバランスをとることができます。
高配当株と増配株はどうやって探せばいいですか?
方法1.証券会社やネットバンクのサイトやアプリで検索する。
この方法は、最も簡単で便利な方法です。
多くの証券会社やネットバンクでは、高配当株や増配株を検索できる機能を提供しています。
- 配当利回りや配当の増減率などの条件で絞り込むことができる。
- 配当金の支払日や額などの情報を確認できる。
- 高配当株や増配株のランキングやおすすめ銘柄を見ることができる。
時間や手間をかけずに、多くの銘柄から高配当株や増配株を探せますが、あくまで参考情報であり、投資判断の最終責任は自分にあることを忘れないようにしましょう。
方法2.ファイナンス系のウェブサイトや雑誌で情報収集する。
この方法は、より幅広く深く高配当株や増配株について学ぶことができる方法です。
多くのファイナンス系のウェブサイトや雑誌では、高配当株や増配株に関する記事やコラムを掲載しています。
専門家やアナリストの意見や分析を参考にできますが、情報に惑わされずに、自分の判断や目的を忘れないようにしましょう。
方法3.自分で財務諸表や株主優待などを分析する。
この方法は、最も高度で難しい方法ですが、自分だけのオリジナルな高配当株や増配株を見つけることができる方法です。
自分で財務諸表や株主優待などを分析するには、このようなステップがあります。
- まず、自分の投資目的やリスク許容度に合った業界やセクターを選ぶ。
- 各企業の財務諸表や株主優待などの情報を収集する。
- 各企業の配当利回りや配当性向、利益率や成長率などの指標を計算する。
- 指標や情報を比較して、高配当株や増配株を探す。
多くの時間や労力がかかりますが、分析の過程で、各企業の事業や戦略について深く理解できます。
第4章:じぶん年金の出口戦略。
本章では、新NISAで築いた資産の『出口戦略』について解説します。
出口戦略とは、投資を始める前に、いつ・どのように・どれだけの利益や損失で投資を終了するかを決めることです。
適切な出口戦略を持つことで、感情に流されずに冷静に判断できるようになります。
まず、投資信託の取り崩しは出口戦略に向きません。
投資信託は、長期的な資産形成に適した商品です。
しかし、投資信託を取り崩すということは、基本的には投資信託を売却するということです。
その場合、売却時の基準価額や税金などによって、受け取る金額が変わってきます。
また、投資信託を取り崩すということは、将来の運用益をあきらめるということでもあります。
そのため、投資信託の取り崩しは、出口戦略としてはあまりおすすめできません。
もっとも実現しやすく、持続可能なのは「じぶん年金」です。
じぶん年金とは、自分で積み立てた資産を、定期的に引き出して生活費に充てることです。
この方法は、自分のライフプランに合わせて、必要な金額や期間を自由に設定できます。
また、運用中の資産は、株式や債券などの金融商品に分散投資することで、リスクを低減できます。
さらに、配当金や利息などの収入も得られます。
このように、「じぶん年金」は、もっとも実現しやすく、持続可能な出口戦略と言えます。
ただし、配当金の受け取り方法の設定を間違えないようにしましょう。
配当金の受け取り方法は、大きくこの4つです。
1.配当金領収証方式。
配当金領収証が自宅に郵送されてくるので、それを郵便局などに持っていって受け取る方法です。
手数料がかかりませんが、受け取りに手間がかかったり、紛失や盗難のリスクがあります。
2.個別銘柄指定方式。
配当金振込指定書を保有する銘柄ごとに提出して、銀行口座に配当金を振り込んでもらう方法です。
受け取りが簡単で安全ですが、手数料がかかったり、銘柄ごとに申し込みが必要です。
3.株式数比例配分方式。
保有する全ての銘柄の配当金を、証券会社の口座で受け取る方法です。
手数料がかからず、申し込みは一度で済みますが、証券会社の口座から銀行口座に移す際に手数料がかかったり、証券会社の口座に預けたままにすると利息がつきません。
4.登録配当金受領口座方式。
保有する全ての銘柄の配当金を、指定した銀行口座に振り込んでもらう方法です。
受け取りが簡単で安全で、申し込みは一度で済みますが、手数料がかかります。
どれを選べばいいですか?
おすすめは3の株式数比例配分方式です。
銀行の利息は低いですし、ネット証券ならかんたんな条件を満たせば出金手数料がかかりません。
NISAって結局どうすればいいのか教えてください!:まとめ
- 新NISAは長期的な資産運用に適した制度。
- つみたて投資枠は、インデックス型かつ分配金再投資型の投資信託を選ぶ。
- 成長投資枠で高配当株・増配株を買い、じぶん年金をつくる。
- 出口戦略はライフプランに応じて定期的に引き出す。
以上、本書を読めば、新NISAを活用し、じぶんだけの年金をつくり、安心して老後を迎えられるでしょう。
本記事の内容は、youtubeでも視聴することができます。
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