今回は、安達裕哉さんが書かれた『頭がいい人が話す前に考えていること』について解説します。
本書は、思考の質を高めて、誰でも「頭のいい人」になれる方法を紹介しています。
著者：安達裕哉さんのプロフィール
安達裕哉さんは、コンサルタントとして多くの企業やビジネスパーソンにアドバイスを提供してきた経験をもとに、コミュニケーションや思考法に関する本を多数執筆しています。
個人ブログとして始めた「Books&Apps」が「本質的でためになる」と話題になり、いまでは累計1億2,000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアとなっています。
安達裕哉さんの著書は、コンサルタントとしての経験や知見をもとに、頭のいい人の特徴やコミュニケーションのコツ、思考の方法などをわかりやすく解説しています。
頭がいい人が話す前に考えていること：要約
本書では、頭のよさを決めるのは、自分ではなく他人だと説明しています。
自己評価ではなく、他人の口コミや評判で決まるわけです。
他人から良いレビューをもらうには、コミュニケーションの質を高めなくてはいけません。
その、コミュニケーションの質を高めるには、話す前に自分の目的や相手の立場を考え、論理的でわかりやすい話し方を意識する必要があります。
そこで思考の質を高めるわけです。
本書を読めば、「頭のいい人」の考え方を学び、コミュニケーションの質を高めることができます。
キャッチコピーをつけるなら『頭のいい人のコミュニケーション術！』です。
第1部：頭のいい人が話す前に考えていること
第１部では、「頭のいい人」の思考法を7つの黄金法則として紹介しています。
黄金法則その1：頭がよくなる時間
頭が悪くなる瞬間とは、感情や他人からの認知を欲する気持ちに支配されている状態です。
この状態では、考えが鈍り、相手に不快な印象を与えてしまいます。
逆に、自分の目的や相手のニーズを考慮して話すことで、相手から理解や共感を得られます。
たとえば、上司と意見が対立しているシチュエーションを例に比べてみましょう。
「いつも私の意見は聞いてもらえないんです。他の人たちとは違って、私はもっと評価されるべきだと思います。私はこれまでにたくさんの努力をしてきました。それに、私のアイデアが採用されないのは公平ではないと思います。私はいつも正しいです。なぜ私の言うことを誰も理解してくれないのでしょうか？」
「私たちの共通の目標はプロジェクトの成功です。私の提案は、この目標に向けた効率的な方法だと考えています。ご指摘の問題点に関しては理解しています。そこで、私の提案を少し修正して、お互いの懸念を解消する方法について話し合いましょう。もし私のアイデアに疑問があれば、具体的なフィードバックをいただければ、それを基に改善策を考えたいと思います」
Aさんは自己中心的っぽく聞こえますが、Bさんは対話を通じて問題解決を図ろうとする姿勢が好印象です。
黄金法則その2：頭のよさを決めるのは他人
頭のよさは、自分ではなく、相手が決めるものです。
そして、相手によく思われるためには、相手にとって有益な情報や提案を伝えることが重要になります。
上司と対立している例でも、Bさんは自分の目的と相手のニーズを考慮しているため、話を聞いてもらえる可能性が高いでしょう。
黄金法則その3：頭のいいフリをしない
頭のいい人は、自分の知識や経験を誇示せず、難しい言葉を使わずにシンプルで具体的な言葉を選びます。
これによって相手は理解しやすく、共感もしやすくなります。
一方、頭のいいフリをする人は、自分の知識や経験を誇示し、難しい言葉を使いたがります。
これでは相手に不快感を与えてしまいます。
たとえば、企画案をプレゼンしているシチュエーションを例に比べてみましょう。
「私の広範な経験と専門知識に基づいて、この分野で最も洗練されたアプローチを考案しました。この企画は、革新的なシナジー効果を生むために、最先端のテクノロジーと先進的なメソドロジーを融合させています。このマルチファセットな戦略は、複合的な市場動向を予測し、リスクを最小限に抑えつつ、最大限のリターンを生み出します」
「この企画は、私たちのチームが共同で考え出したアイデアに基づいています。私たちは、使いやすいアプリを通じて顧客に新しい体験を提供したいと考えています。このアプリでは、ユーザーが必要な情報を簡単に見つけられるように、直感的なデザインを採用しています。それにより、顧客満足度の向上を目指します」
Aさんは横文字が多くて何を話しているのか分かりにくいですが、Bさんは分かりやすいです。
黄金法則その4：論破しない
論破とは、相手の意見を否定して自分の意見を証明することです。
この方法は相手に反感を抱かせます。
頭のいい人は相手の意見を尊重し、共感を示します。
相手の感情や背景を理解し、対話を通じて信頼関係を築こうとします。
たとえば、クレーム対応をしているシチュエーションを例に比べてみましょう。
「お客様、その問題は実際には存在しないと思います。私たちの製品は高品質で、そのような不具合は起こり得ません。実際、他の多くのお客様からは非常に良いフィードバックを頂いています。問題があるとは考えにくいです。もし不具合が本当にあるとしても、それはお客様の使い方が間違っている可能性が高いです」
「お客様のご指摘について、私たちは真剣に受け止めています。そのような経験をされたことを申し訳なく思います。私も同じ状況にあれば、不安と不満を感じることでしょう。お客様の気持ちはよく理解できます。まずは、具体的にどのような問題が発生したのかを詳しくお聞かせください。それに基づいて、最善の解決策をご提案いたします」
Aさんは完全に独り相撲という感じで「はい論破！」と言いそうですが、Bさんは建設的な解決策を提案してくれそうだから安心して話せますね。
黄金法則その5：話が上手いだけの人にならない
話し方だけでなく、聞くことや質問することも重要です。
頭のいい人は、相手の話に注意を払い、自分の知識や理解を広げようとするものです。
クレーム対応の例でも、Bさんはお客様に質問して理解しようとしています。
黄金法則その6：知識を知性に変える
頭のいい人は、知識を単に覚えるのではなく、自分の言葉で説明し、他の知識と結びつけることで知性を発揮します。
知識を知性に変えるには、自分の言葉で言い換え、他の知識と結びつけ、実践で役立てましょう。
黄金法則その７：承認欲求をコントロールする
承認欲求は、他人に自分の存在や価値を認めてもらいたいという自然な欲求です。
これは人間にとって必要なものですが、過度に強いと自分の感情や行動に悪影響を及ぼしてしまいます。
頭のいい人は、自分の感情や承認欲求に振り回されず、客観的に物事を見ることができます。
自分の弱点や誤りを認識し、改善しているわけです。
たとえば、昇進試験の面接というシチュエーションを例に比べてみましょう。
「私は会社にとって非常に重要な人物です。これまでの業績だけ見ても、私の価値は明らかです。私の能力を認めていただきたいです。他の誰よりも私が昇進にふさわしいと思います。他の候補者よりも私のほうが優れていると思います。私の貢献は会社にとって不可欠です」
「昇進への意欲は高く、私の経験とスキルが会社の目標達成にどのように貢献してきたかをお話しします。私の主な焦点は、チームと会社の成長です。個人的な成果よりも、チーム全体の進歩に重点を置いています。具体的な例を挙げると、私が率いたプロジェクトは予算内で完了し、期待された成果を上回る成果を出しました。これはチームの努力の賜物です」
Aさんはただ自分が認められたい一心という印象ですが、Bさんは具体的な実績を提示していて頼りになりそうですね。
第2部：一気に頭のいい人になれる思考の深め方
第２部では、話す前に自分の考えを整理し、相手にインパクトを与えることができる思考の深め方を5つの思考法として紹介しています。
思考法１：「客観視」の思考法 まずはバカな話し方をやめる
バカな話し方とは、自分の主観や感情に基づいて話すことです。
この方法では、相手に自分の考えを伝えるのが難しいです。
一方、客観視の思考法は、自分の感情や立場を一旦置いて、事実や根拠に基づいて話す方法です。
この方法を使えば、相手に自分の考えを理解してもらいやすくなります。
客観視の思考法を身につけるには、自分の主観や感情に気づき、感情を分離させ、事実や根拠を加えると良いです。
思考法２：「整理」の思考法 なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか？
頭のいい人の話は、わかりやすい構造や順序に従って語っています。
整理の思考法とは、自分の考えを整然とまとめて、相手に伝えやすくする方法です。
この方法を使えば、相手に自分の考えを理解してもらいやすくなります。
整理の思考法を身につけるには、自分の考えを整理し、構造化し、可視化すると良いです。
思考法３：「傾聴」の思考法 ちゃんと考える前にちゃんと聞こう
傾聴の思考法とは、相手の話に真剣に耳を傾け、相手の気持ちや意図を理解することです。
この聞く姿勢は、相手に自分の関心や尊重を示し、同時に自分の思考力を広げ深めるのに役立ちます。
傾聴の思考法を身につけるには、相手の話に集中し、感想や質問などで反応し、相手から学ぶ姿勢を見せると良いです。
思考法４：「質問」の思考法 深く聞く技術と教わる技術
頭のいい人は、質問するスキルも備えています。
質問の思考法とは、自分の疑問や興味を表現し、相手の知識や経験を引き出すことです。
深く聞く技術は、相手の話から重要なポイントや隠れた意図を見抜くスキルであり、相手の考えや気持ちを深く理解し、自分の知識や理解を広げるのに役立ちます。
また、教わる技術は、相手の話を自分の学びに結びつけるスキルであり、相手の知識や経験を取り入れつつ、感謝や尊敬を示すことができます。
深く聞く技術と教わる技術を身につけるには、相手の話に興味を持ち、質問をし、共感や同意などの感想を伝えると良いです。
思考法５：「言語化」の思考法 最後に言葉にしてインパクトを残す
頭のいい人は、自分の考えを整理し、相手に効果的に伝える能力があります。
言語化の思考法は、自分の考えをシンプルで具体的な言葉で表現する方法です。
言語化は、考えを言葉で表現することで、自分の考えをはっきりさせ、相手に伝わりやすくなります。
言語化の思考法を身につけるには、自分の考えを要約し、具体例を交え、強調したいポイントを目立たせると良いです。
パワーワードやキャッチコピーを考えてみると練習になるかも？
頭がいい人が話す前に考えていること：まとめ
- 頭のいい人とは、話す前に自分の目的や相手の立場を考え、論理的でわかりやすい話し方をする人である。
- 頭のいい人になるためには、7つの黄金法則と5つの思考法を身につける必要がある。
- 7つの黄金法則とは、頭が悪くなる瞬間や頭がよくなる時間・頭のよさを決めるのはだれか・頭のいいフリをしないこと・論破しないこと・話し方よりも大切なこと・知識が知性に変わるとき・承認欲求をコントロールすることである。
- 5つの思考法とは、客観視・整理・傾聴・質問・言語化である。
本書には、これらの法則や思考法を実践するための具体的な例やワークシートが豊富に掲載されています。
実践して、知識を知性に変えましょう！
本記事の内容は、youtubeでも視聴することができます。
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